店長の広島弁講座 その2

はぁ10月も終わりよ。冬んなるで。わしゃ寒いんは嫌いなんよ。

 

「はぁ」はため息ではありません。

確かに10月も終わりよと寂しい感じでため息をつきたくなるかもしれませんが。

標準語では「もう」という意味です。

 

標準語訳は「もう10月も終わりよ。冬になるよ。私は寒いのは嫌いなんだよ。」という感じですね。

 

最近、かなこりんのおすすめで漫画「溺れるナイフ」を読みました。

実写で映画化もされるそうですね。

 

物語は東京などの実在の地名も出てきますが、主には架空の田舎町の設定で架空の方言を話します。

その方言はWikipediaによると映画「仁義なき戦い」に出てくる広島弁と上方方言を混ぜたものとのことでした。

確かに広島弁のように見えるけど全然違う…

残念ながらこの違和感のせいでストーリーがあまり頭に入ってきませんでした。

まあどちらにしてもストーリーはネタばれになるので書きません。


 

クリスタルちか先生も下手な大阪弁はイラッとすると言っていましたが、広島人もそういうところはあります。まあ多分どこでもあるでしょうね。

 

いや、その前に「溺れるナイフ」は広島弁ではなく架空の方言なんですけどね。

ただ、似ているだけに余計に気になる…という話でした。


でも、かなこりんも最初は「溺れるナイフ」の言葉が広島弁だと思っていたと言っていました。

 

「あがぁなもんは広島弁じゃああるかいや」

ということで、気になったついでに広島弁講座第2回です。

「溺れるナイフ」に出てくる架空の方言で、広島弁と同じ言葉だけど広島弁としてはちょっと微妙な使い方の物をピックアップして広島弁だったらどうかというのをみていきます。

 

・あがぁな、こがぁな、そがぁな、どがぁな

小さい「あ」は発音するようなしないような感じです。

標準語ではあんな、こんな、そんな、どんなという意味です。

 

例文

あがぁなもんは広島弁じゃぁあるかいや

→あんなものは広島弁なわけないじゃないか

こがぁな事してめえ思いよるんか?

→こんな事してもいいと思っているのか?

 

ちょっと話がそれますが、「いいと思う」のような文の「と」は広島弁ではほとんど省略されると思います。

いいと思う→ええ思う

省略されると思います→省略される思います

あると思います→ある思います

 

話を戻して、

あんなに、こんなに、そんなに、どんなに→あがぁに、こがぁに、そがぁに、どがぁに

あんなの、こんなの、そんなの、どんなの→あがぁなん、こがぁなん、そがぁなん、どがぁなん

というような感じで変化します。

 

「溺れるナイフ」では「こがぁ」という言葉がよく出てくるのですが、「こがぁな」とか「こがぁに」とかにしてくれればいいのに、「こがぁ」で切るので広島弁としては違和感がすごくて、

極めつけは「お前」と書いてあって振り仮名で「こがぁ」と書いてあったのが決定的に広島弁としてはありえない使い方でした。

 

「そがぁな使い方はしゃぁせんわいや」

→そんな使い方はしないよ

 

繰り返し言いますが、あれは広島弁ではなく架空の方言です。

勝手に違和感を感じているのが悪いんです。すみません。

 

ちなみに、また話がそれますが、あんなぁ、こんなぁと言うと人に対して使う言葉になります。

そんなぁとは言わないですね。

「あんなぁ風邪ひいとるらしいで」

→あの人は風邪をひいているらしいよ

「こんなぁぶち頭がええけえの」

→この人はとても頭がいいんだよ

 

・~なら、~な

強調する言い方です。喧嘩を売るほどの強調です。

「~なら」よりも「~な」のほうがほんのちょっとやおいイメージです。

「やおい」は「柔らかい」です。

 

例文

なんなら

→なんだよ(この「なんだよ」は不良少年が喧嘩を売る時の「なんだよ」です。)

なんなら。なにみょーるんなら

→なんだよ。なに見てんだよ。(これも不良少年のやつです。)

なにしょーるんなら

→なにやってるんだよ

(これは不良もあるけど、親から子とか先生から生徒、上司から部下のような上の立場からのちょっと呆れた感じの注意というイメージも強いです。)

 

また「溺れるナイフ」の話をしますが、この「なんなら」が良く出てきます。

喧嘩売りまくりです。いや、確かに喧嘩しまくりでしたけど。

そういう場面じゃないだろうというところにも「なんなら」が出てきます。

標準語だと、「なんだよ」じゃなくて「どうしたの」ぐらいの感覚のところでも「なんなら」を使うので違和感を感じてしまいました。

「どうしたの」ぐらいの感じだと「どしたんな」とか「なんしょんな」(なにやっているの)ぐらいがいいんじゃないでしょうか。

あ、でも「どしたんな」レベルのところには「なしたんない」という謎の言葉が出てきますね。あれはどこかの方言なのか完全に架空の言葉なのか。


 

他にも気になる言葉はあった気がするけどこの辺で。

 

「溺れるナイフ」はかなこりんのおすすめです。

ストーリーはぶちおもしろいらしいので是非。


以上です。

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コメント: 2
  • #1

    joria (土曜日, 27 8月 2016 00:34)

    すいません。質問がありますが、外国人ですから、「なしたんない」は一体どういう意味ですか?どこの方言でもなく、架空の言葉ですか?
    『溺れるナイフ』を見て、ちょっとわからなくなります。
    教えてください。ありがとうございます!

  • #2

    店長 (土曜日, 27 8月 2016 12:15)

    コメントありがとうございます!

    漫画の中での「なしたんない」とは
    『どうしたの?』という意味で使われています。
    恐らく架空の言葉だと思います。
    作者もそう言っていたと思います(^-^)